こんにちは。TAROさんです。
今回は、令和2年12月頃、ニュースで話題の「アスベスト」に関する記事です。
私も以前、アスベストに関わる仕事をしたことがあるので、できるだけわかりやすくまとめてみました。
1.アスベストとは?
■「石の綿」とよばれる極細の繊維
アスベストは「石綿」とよばれるように、石でできた綿で、かなり細い針状の繊維です。
大きさは、直径0.02~0.35μmくらいの細さです。
髪の毛が、直径40~100μmくらいなので、肉眼ではわからないほどです。
こんな極細な繊維ですが、天然物の鉱物なので、熱や薬品にも強く、丈夫なので、昔は様々な工業製品や建築材料などに使用されていました。
■ アスベストの問題点は?
アスベスト自体は、毒物であったり、病原菌であったりするわけではないので、そこにあること自体が直ちに問題にはなりません。
ただし、飛び散りやすく、吸い込むと、体に悪影響を及ぼすので、問題になります。
■ 現在は、原則製造も使用も禁止
アスベストは、破損などして飛び散ると、空気中に舞いやすく、吸い込んでしまうと、体に悪影響を及ぼすので、2012年3月に、法律で製造も使用も原則禁止になっています。
吸わなければ体に問題なし。
ただ近くにあるとやっぱり、気になりますね。
■ ちなみに、アスベストと珪藻土は違うの?
本来、アスベストと珪藻土は、まったく別の物質であり、無関係なものです。
珪藻土とは、その名のとおり「珪藻」つまり「藻(も)」(植物)が化石になった岩石のことで、主成分はシリカ(一般的には食品添加物などにも使用)とよばれるものです。
また、一般的に、(粉状の場合の)大きさが数十μmあり、形状も円盤状です。
そもそも吸い込んだ時に体に影響を及ぼす理由は、その「大きさ」と「形」にあります。
つまり、珪藻土は、アスベストに比べて、ずっと大きく、形も針状ではないので、吸い込んでも、肺に残りにくいというわけです。
いずれにしても、両方とも、粉々の状態ではなく、固まった状態であれば、飛び散ったりせず、吸い込むこともないので、心配はありません。
「珪藻土に、アスベストが入っている」ってことは、一般的には考えにくいことであり、今回の報道のとおり、珪藻土の製品すべてではなく、一部の製品に限られていることから、原料や製造工程に何か原因があったのかもしれませんね。
2.アスベストを吸ってしまうとどうなる?
■ アスベストが原因で発症する病気は?
・ 石綿(アスベスト)肺
肺が線維化してしまう肺線維症(じん肺)という病気の一つ。
・ 肺がん
アスベストが肺がんを起こすメカニズムはまだ十分に解明されていませんが、 肺細胞に取り込まれた石綿繊維の主に物理的刺激により肺がんが発生するとされている。
・ 悪性中皮腫
肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜、心臓及び大血管の起始部を覆う心膜等にできる悪性の腫瘍のこと。
アスベストがたくさん使われていたのは、1970~1990年の時代。
この頃、建設関係などのお仕事をされていた方が、多いようです。
■ どれくらい吸ったら発症するのか?
アスベストを吸い込んだ量と肺がんなどの発病との間には、相関関係が認められていますが、一時的に少量の吸入した場合の発がんのリスクは、不明なようです。
■ もし吸い込んでしまったら?
一時的に、吸い込んだアスベストの一部は、痰(タン)と一緒に体外に排出されるようです。
でも、大量のアスベストを吸い込むと、肺の中に蓄積されてしまいます。
3.どんな物にアスベストは含まれているのか?
■ ニトリ、カインズなどの一部の珪藻土製品(※令和2年12月27日現在)
珪藻土とアスベストは、まったく別の物なので、本来は、あまり結びつくようなものではないのですが、ニトリによると、アスベストが混入した原因は、12月27日現在、調査中のようです。
・ ニトリ
ホームページを見ると、アスベストが含まれる対象となる珪藻土製品では、一部の製品に限られるようです。
販売期間が、2016 年 12 月 4 日から 2020 年 12 月 16 日までの製品です。
フロー形式で、対象かどうか判断できるようになっていました。
珪藻土バスマットを見ると、特殊なデザインや柄があるものは対象外で、「水色または白色の無地で、溝がない、サイズ50×70cmなど」のものが、対象のようです。
(他にも条件があるので、詳しくは、下記のHPをご参照ください)
なお、回収の際は、交換または返金するようです。
◆ ニトリHP「回収対象となる珪藻土製品の見分け方」
https://www.nitori-net.jp/ecstatic/image/pdf/nitori_flowchart_20122613.pdf
・ カインズ
ニトリ同様、ホームページに、具体的な対象製品が写真付きで掲載されていました。
販売期間が、2018 年 5 月 26 日より 2020 年 12 月 12 日までの製品です。
なお、回収の際は、返金するようです。
◆ カインズHP
「【重要】12/25 珪藻土回収対象商品の見分け方(無地バスマット・プリントバスマット・その他)」
■ 古い建物の一部
アスベストは、昔は、生活のあらゆるところで使用されてきましたが、大きくは工業製品と建築材料に分けられ、その8割以上は建築材料です。
使われていた時代としては、1955年ごろから使われ始め、ビルの高層化や鉄骨構造化に伴い、鉄骨造建築物などの軽量耐火被覆材として、2000年初めころまで使用されました。
このころ建てられた建物などが、老朽化などで、現在そして今後、解体することが多くなりますが、周辺に飛散しないよう、法律で厳しく規制されています。
通常の戸建て住宅には、使われていないようです。
■ 昔はこんな物にも・・・
私の子どもの頃は、学校の理科の実験で、ガスバーナーで熱するときに使う「金網」にもアスベストが使われていました。
もちろん普通に使う分には、問題なかったと思いますが、破れたりしたら、ちょっとこわいですね。
4.もし含まれている物があった場合はどうすればいい?
アスベストが含まれている対象製品について、厚生労働省、ニトリ、カインズは、このように呼びかけています。
・使用をただちにやめてほしい
・削ったり、割ったり、破損しないように
・一般ごみ等では破棄せず、ビニール袋に 2 重に入れて、テープ等で封をした上で回収まで保管
また、今回の珪藻土とは別に、昔建てられたマンション等では、駐車場などに使用されている可能性がありますので、気になる場合は、販売業者や管理会社を通じて建築時の工事業者や建築士等に使用の有無を問い合わせてみるといいです。
いかがでしたでしょうか?
まだまだこの珪藻土製品の問題、波及しそうですね。
購入した方は、心配な気持ちになると思いますが、アスベストに対する理解を深めていただけるよう、少しでもお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
(参考)
■ 厚生労働省HP
■ 独立行政法人環境再生保全機構HP
アスベスト(石綿)とはどのようなものか|アスベスト(石綿)とは|アスベスト(石綿)とは?|アスベスト(石綿)健康被害の救済|独立行政法人環境再生保全機構
■ ニトリHP
https://www.nitori-net.jp/ecstatic/image/pdf/nitori_onegai_20122519.pdf
■ カインズHP
■ NSK日本建築仕上材工業会HP