【はじめての水質汚濁防止法】あなたの工場はなぜ規制対象なのか?

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TAROさん
TAROさん

こんにちは。今回はタイトルにあるような疑問にお答えします

例えば、こんな方におすすめです
・なぜ自分の工場が水質汚濁防止法の規制対象か、正直よくわからない方
・企業の環境部署にはじめて配属された方
・新しく特定事業場の経営者・工場長になる方
・公害防止管理者を受検する予定の方
・水質汚濁防止法の概要をわかりやすく知りたい方 など

TAROさん
TAROさん

ちなみに筆者の私ですが、こんなキャリアがあります。

・水質汚濁防止法の実務経験者(元公務員技術職)
・公害防止管理者(水質第1種)の有資格者

さらに本記事は、信頼性を保つため、環境省や自治体の一次情報を基本としています。

この記事を読み終わった後は、なぜ自分の工場や事業場が、水質汚濁防止法の規制対象なのか、スッキリとわかるようになっていると思います。
※なお、実際の法的な解釈は自治体の判断により分かれることがありますので、お住いの自治体にご相談ください。

自分の工場が水濁法の規制対象なのはなぜか?

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水質汚濁防止法(以下「水濁法」)の届出担当者にはじめてなった方で、こんな疑問がある方はいませんか?

疑問点

・「そもそもなぜうちの工場に水質汚濁防止法の規制かかるんだろう?」
「特定施設があるから?」

確かに正解ですが、これだけではないんです。

この「なぜ規制がかかるか」という視点は、今後、水濁法を上手に学ぶポイントとなります。

水濁法はいろいろな規制がありますが、すべての事業者に、画一的に規制がかかるわけではありません。

つまり、「自分の工場にどんな規制がかかるか?」を調べるためには、まず前提として「なぜ規制がかかるのか?」を理解することが大切です。

規制対象となる理由

それでは、この疑問に対する回答です。

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いかがでしょうか?

これが水濁法の規制対象となる理由です。

※事故時の措置などは、「貯油施設」や「指定施設」も届出等の規制対象となります。

これが頭に入っていると、これから水濁法を理解するスピードが違ってくるはずです。

あの水濁法の条文をじっくり読み込んで理解するのは、なかなか骨が折れる作業です(少なくとも理系のわたしには、そうでした)。

もちろん法律は読まなければ始まりませんが、なぜ規制対象になるか」がわかれば、「法律のどこを理解すればいいか」がわかります。

1.「特定施設」があり、かつ「公共用水域」に排水している水がある

ポイントは、次の2つが両方あてはまることです。

「特定施設」がある
「公共用水域」に排水している

つまり、通常の「特定施設」があるだけでは、規制対象にはなりません。

「特定施設」のある「工場や事業場」から、「公共用水域」に排水する水があるかどうかです。

この排水する水には、特定施設以外からの水も含まれます。

「手洗い」、「トイレ」、「冷却水」、「雨水」など、すべてです。

これらが「公共用水域」に排水している場合、水濁法のさまざまな規制がかかります。

例えば、特定施設から出る廃液や汚水などを、下水道や共同処理場などの「公共用水域以外」に排水していても、「雨水だけは公共用水域に排水している」ケースもあるので注意が必要です。

主な規制内容
・届出義務
・排水基準の遵守義務
・排水の測定義務
・公害防止管理者の設置(1日の排出水量が1000㎥以上の場合)

※ 公害防止管理者は、「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」に規定
※ 特定施設があり、下水道に排水している水がある場合は、別途、下水道法の規制対象になります。

2.「有害物質使用特定施設」がある

有害物質を使用していない「通常の特定施設」は、公共用水域に排水しているかがポイントでした。

しかし有害物質を使用する特定施設の場合、排水先は関係ありません。

有害物質使用特定施設があるだけで規制対象になります。

さらに有害物質は、人の健康や環境に与えるリスクも大きいことから、規制も通常の特定施設より多くなります。

ちなみに「有害物質の使用」とは、使用、製造、処理のことです。

使用する薬品などに有害物質が含まれていないか、必ず把握しておいてください。

また有害物質を使用する量は関係ありません。

ほんの少量でも、たまに使うだけでも対象です。

主な規制内容
・届出義務
・排水基準の遵守義務(公共用水域に排水する場合)
・排水の測定義務(公共用水域に排水する場合)
・有害物質を含む水の地下浸透禁止
・構造基準の遵守義務
・施設や設備等の点検義務
・公害防止管理者の設置(排出水量は関係なし)

3.「有害物質貯蔵指定施設」がある

特定施設がない場合でも、規制対象になる場合があります。

それは「有害物質貯蔵指定施設」がある場合です。

これば平成23年6月の法改正で新たに追加されたもので、有害物質を含む液状のものを貯蔵する施設のことをいいます。

こちらも、排水先などは関係ありません。

主な規制内容
・届出義務
・構造基準の遵守義務
・施設や設備等の点検義務

参考記事

TAROさん
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他にも水質汚濁防止法の担当者の方に役立つ記事をまとめています。

🔳水質汚濁防止法をわかりやすく解説!はじめて届出担当者になったら最初に確認すべき5点
🔳【はじめての水質汚濁防止法】特定施設の定義と確認すべきポイントを解説!
🔳【はじめての水質汚濁防止法】排水基準とは?「排水基準を定める省令」などわかりやすく解説!
🔳【はじめての水質汚濁防止法】有害物質とは?確認すべきポイントをわかりやすく解説!
🔳【はじめての水質汚濁防止法】第5条第1項の特定施設の届出書について、わかりやすく解説!

まとめ

あなたの工場や事業場が、なぜ規制対象になっているかわかりましたか?

もし、特定施設を今は使用していなかったり、使用する薬品が昔と変わっていたりしたら、状況によっては、規制対象から外れているかもしれません。

いずれにせよ、これから届出や行政との窓口を担当する方は、水質汚濁防止法のことを理解しておく必要があります。

基準を守らなければ、当然罰則もありますし、人の健康や環境汚染につながるリスクもありますしね。

それに行政の立入検査も突然来るかもしれません。

本来業務をしながら、水濁法を学ぶのは大変かもしれませんが、効率よく理解を深めてください。

企業の方は、より効率的に水質汚濁防止法を理解したいと思うので、その方法を以下にまとめたのでご覧ください。

あわせて読みたい

水質汚濁防止法のおススメの本は、こちらの記事が参考になります。

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水質汚濁防止法の効果的な学習方法は、こちらの記事が参考になります。

元行政職員。主に環境行政を担当し、環境法令に基づく届出や許認可の審査、また年間100社以上の工場や事業場への立入検査をしてきた実務経験があります。公害防止管理者などの国家資格有り。環境法令について、実務を担う方などがわかりやすく学べるようやさしく解説しています。

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