実際に廃棄物の処理をしていると、「あれっ?これってどうすればいいんだっけ?」といった疑問が出てくることがあると思います。これをウヤムヤのまま無視してしまうのは危険です。
必ず「ルールがあるのか?ないのか?」一度立ち止まって確認する必要があります。
もしルールが定められている場合、それに従って行動しなければなりません。また「ルールをどう解釈すればいいのか」ということもあります。
そんな時、近くにすぐ聞ける人がいればいいですが、そうでないこともありますよね。
そこで今回は、わからない時、疑問が生じた時に、自力で、すばやく、きちんと調べられる方法をお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。
1 まずは条文を探すのが基本
まずは廃棄物処理法の中に規定されている条文がないか確認する必要があります。
個別のケースに対する細かい疑問の場合、条文を読んでもピンポイントで答えにたどり着くことは少ないかもしれません。
ただし「どの条文に基づくものか、関係しているものか」をきちんと押さえておくことが重要です。なぜなら、法律の条文が、施行令、施行規則、関連通知など他のルールの根拠になっているためです。
それでは、関係しそうな条文にすばやくたどり着ける方法をお伝えします。
(1)目次と見出し
こちらの記事でも少しお話ししましたが、まずは廃棄物処理法の目次をみて、第何章の何条あたりにありそうか、目星をつけてください。
その上で「見出し」だけを見ながら、関連しそうな条文を探します。
ここでは条文に「あたり」をつけることが重要です。ドンピシャで条文に答えが書かれていればいいですが、そうでない場合は「この辺の条文に関連してそうだな」とあたりをつけるのです。
条文を見つけられたら、関連する施行令や施行規則などを当たり、疑問を解消できるか確認してください。
(2)キーワード検索
疑問の内容によっては、どの条文に該当するか見当がつかないこともあるかもしれません。
そんな時は、別のやり方で「あたり」をつけていきましょう。
いろいろなやり方があると思いますが、いくつかのキーワードで検索するのも手です。
たとえば、法律などの条文において、キーワードで全文検索をしてみます。キーワードを含む条文がハイライトされるはずです。その条文を読み、疑問解消に役立ちそうな条文か、確認してみてください。
ここでポイントとなるのが「法律用語で検索する」です。
Google検索とは違い、あいまいなキーワードではそもそもヒットしません。法律用語で検索する必要があります。
例)
・「企業」⇒「事業者」
・「マニフェスト」⇒「産業廃棄物管理票」
・「リサイクル」⇒「再生利用」
この点に注意して検索し、関係する条文を探してみてください。
2 関連通知
条文にあたりがついたところで、個別のケースだと「この条文をどう解釈すればいいのか?」となることも少なくないと思います。
その時役立つのが「関連する通知」です。
通知は、法律などが改正されたときに、環境省などから出されるもの。通知には、国の見解、つまり解釈が掲載されています。
通知を読んで、はじめて条文の意味を正しく理解できることも少なくありません。法を運用するにあたっては、通知はとても重要です。
通知は環境省のホームページに一覧が掲載されていて、数百件以上あります。通知のタイトルや通知日から探したり、もしくは環境省のホームページ内でキーワード検索するなど、関連する通知を見つけていきます。
前述のとおり、ゴミを出すだけの一般的な企業(廃棄物処理業者や行政担当者以外)であれば、関連する通知も限られているので、日頃から重要な通知を把握しておくといいでしょう。
3 信頼できるサイト・市販の本
関連する条文や通知が見つかったとしても、「知りたい情報とは違う」といったケースも多いのではないでしょうか。一般的に、個別具体的なケースまで、国が示していることの方が少ないのが事実です。
ただ「ルールがなければ何でもいい」とは一概には言えないのが悩ましいところ。
実際には「ルールをどう解釈して運用すればいいか」ということになります。
そういう場合は、公共性のある関係機関のサイトなどを参考にするといいでしょう。または廃棄物処理法に詳しい専門家が出版した市販の本を参考にするのもいいかもしれません。
ただどこにも規定されていない以上、解釈は人によってさまざま。「あくまで参考」程度にしておくことが大切です。
4 最後は所管する自治体へ
さて、ここまで「自力」で調べる方法についてお伝えしてきましたが、法律に明示されていないものは、既存のルールを解釈して運用していくしかありません。
解釈に当たっては、最終的に「廃棄物処理法の事務を所管する自治体」に確認することになります。結局のところ、所管する自治体の解釈が「答え」になります(正確には司法の場になりますが)。
仮に違法なことがあった場合、指導や処分を行う判断をするのは所管する自治体です。
おそらく自治体も解釈するにあたっては、国の見解を照会することもあるでしょう。なお、「所管する自治体」とはお住いの都道府県または政令市(政令指定都市や一部の中核市など)です。一般廃棄物の処理については市町村です。
法律に明記されていない以上、所管する自治体の解釈に従う必要がありますが、まずは自分で調べてみるということが基本です。
まとめ
・日常の廃棄物の業務の中で疑問が生じたら、放置せず、ルールはどうか確認することが大切
・まずは廃棄物処理法の条文に定められていないか、どの条文に関係しそうかあたりをつける。
・条文を見つけるために、目次や見出し、キーワード検索などをうまく活用する。
・条文の解釈が関連する通知に記載されていることがある。
・自治体や関係機関のサイト、専門家の書籍などを参考にし、法の解釈のヒントにする。
・最終的には所管する自治体の意見・考えに従う。
【執筆者 プロフィール】
元技術系公務員のフリーライター。大手製造業で開発業務を経て、公務員の技術職へ。水質汚濁防止法や廃棄物処理法の担当者として、多くの事業場に立入検査や届出審査を行ってきた。公害防止管理者(水質第1種)、廃棄物処理施設技術管理者などの資格を保有。現在は、ライターに転向し、ビジネス系のWEBメディアや製造業者のWEBサイトなどの記事を執筆中。