本記事では、
「廃棄物処理に関するルール」についてご紹介します。
廃棄物処理のルールを学ぶには、「廃棄物処理法」だけでは足りません。
実は「守るべきルール」が他にもあるのです。
そもそもルールを守るには、
「どこにルールが書かれてあるか」
「ルールブックはどこにあるか」
当然知らなければなりませんよね。
今回は「守るべきルールの全体像」を把握できるようになることを目指します。
ルールの全体像を把握できれば、攻略する対象が明確になるので、効率的に学べるようになります。
1 廃棄物処理法とセットにあるルール
廃棄物処理に関するルールの中心は、廃棄物処理法であることは変わりません。
ただ、他も同じですが、法律とセットとなるルールがあるのです。
法律とは「基本ルール」を定めたものです。
つまり、かなりざっくりとしたルールのみ定めてあります。
しかしそれだけだと曖昧で、実際に運用する立場の人が困ってしまいますよね。
そこで法律で定めたルールを具体化したルールがあります。
それが「施行令」「施行規則」「告示、通知」などになります。
これらは廃棄物処理法と1セットになっています。
廃棄物処理法
昔、社会の授業で習いましたが、そもそも法律は国会でつくられます。
もちろん素案などは所管省庁(環境省)が提案しますが、国会での審議の上で成立されるものです。
掲載場所の例としては、電子政府の総合窓口「e-GOV」にあります。
ちなみに正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」です。
よく「廃掃法(はいそうほう)」と略されます。
廃棄物処理法施行令(政令)
国会で法律が成立すると、それを補う形で、政府(内閣)が施行令(政令)としてルールを定めます。
廃棄物処理法を見ると、「政令で定める」と頻繁に出てきます。
同じく掲載場所の例としては、電子政府の総合窓口「e-GOV」にあります。
廃棄物処理法施行規則(省令)
同様に、所管省庁(廃棄物処理法の場合は環境省)が施行規則(省令)としてルールを定めます。
届出の記載内容など、細かいルールはこの施行規則に定められていることが多いです。
廃棄物処理法や廃棄物処理法施行令を見ると「環境省令で定める」と頻繁に出てきます。
同じく掲載場所の例としては、電子政府の総合窓口「e-GOV」にあります。
ちなみに省令は、廃棄物処理法施行規則以外にもいくつかあるので要注意です。
告示・通知・ガイドラインなど
さらに、所管省庁から、告示や通知、ガイドラインといった形のものがあります。
法律が改正される時などに通知が出されることが多く、法律の内容がより具体的に記載されたものです。
条文だけでは見えない、国の意図がわかるので重要なものです。
ただ、通知の数はかなり多いです。すべてを把握することは至難の業・・・。
とはいえ重要な通知も多いので、まずは「こういったものがたくさんある」
ということと「どこにあるか」を覚えておいてください。
掲載場所は、環境省のホームページ(外部サイト)にあります。
一つにまとまった便利な本
法律、政令、省令、通知・・・実際に法律を読み解こうとすると、いろいろな条文に飛ぶ必要があり、手間がかかります。
そこでおススメなのが「廃棄物処理法令 (三段対照) ・ 通知集」(TAC出版)です。
行政にいるときは、辞書のように頻繁に使用していました。
すべて1冊の本にまとまっているので手間が省けます。
1冊5,000円位しますが、あちらこちらネットのページを探し回る手間を考えると安い気もします。
2 基本法と特別法
廃棄物処理法とセットになるルールを押さえたところで、実は他にもルールブックが存在します。
それが「基本法」と「特別法」とよばれる法律です。
これは法律の名称ではなく、種類のことで廃棄物処理法は「一般法」とよばれます。
関係性としては、「基本法」⇒「一般法」⇒「特別法」の順に、対象範囲が絞られるイメージです。
「一般法」の上位にある基本的な考え方を定めたものが「基本法」
「一般法」の特定の部分だけをルール化したものが「特別法」
といった感じでしょうか。
順に説明します。
基本法
実は廃棄物処理法の元となる、国の基本的な方針を定めた法律が「基本法」とよばれるものです。
具体的には、「環境基本法」「循環型社会形成推進基本法」です。
ただし、廃棄物処理法とは異なり、直接的な規制や罰則を定めたルールではなく、あくまで方針を定めたものです。
掲載場所は、「e-GOV」をご覧ください。
特別法
一方、特別法はあるジャンルに特化した法律になります。
廃棄物処理に関しては、各種リサイクル法がこれに当たります。
個別のケースに当てはまる場合は、廃棄物処理法よりも特別法が優先されます。
対象となる使用済みの製品がある場合は、これらのルールに従ってリサイクルする必要があります。
最低限「ルールに該当するかしないか」は押さえておかなければなりません。
ただ廃棄物処理法のような複雑さやボリューム感はなくシンプルな作りなので、読めばわかるレベルだと思います。
掲載場所は、「e-GOV」をご覧ください。
3 自治体の条例など
さて、これまでは国が定めた法律関係の話でしたが、ルールブックはそれだけではありません。
各自治体でもルールブックを作っていることがよくあります。
具体的には「条例」、「規則」、「要綱」、「要領」、「指針」、その他・・・などです。
この中で法的な拘束力があるのは、地方議会で決められる「条例」のみです。
他は強制力はありませんが、守っていないと行政から指導が入るかもしれません。
掲載場所は、各自治体のホームページの「例規集」というところによくあります。
最低限「関係するルールはあるかどうか」は押さえておく必要があります。
自治体によってルールはさまざまですが、おそらくただ廃棄物処理法のような複雑さやボリューム感はなくシンプルな作りなので、読めばわかるレベルだと思います。
まとめ
さて「守るべきルールブックの全体像」は把握できたでしょうか?
「こんなの覚えきれるわけない!」と思ったかもしれませんが、覚える必要はありません。
ただルールを守るためには「どこにルールが書かれてあるか」「ルールブックはどこにあるか」知らなければ始まりません。
廃棄物に関するルールブックの全体像を押さえることで、学ぶべき対象が絞れたのではないでしょうか。
以下にまとめます。
・廃棄物処理法とセットとなる「政令」「省令」「告示・通知」などがある。
・廃棄物処理法の上位に位置する「基本法」がある。
・廃棄物処理法の特定の部分に特化した「特別法」がある。
・各自治体で条例や要綱を定めている場合がある。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。